1.GoToトラベル事業の概要
・対象期間は令和2年7月22日(水)から令和3年1月31日(日)宿泊まで。
・国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を支援。
・給付額のうち、7割は旅行代金の割引に、3割は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与。
・1人1泊当たり2万円が給付上限。日帰り旅行については1万円が上限。
・連泊や利用回数の制限なし。
・地域共通クーポンは2020年10月1日以降の出発から対象。それまでの旅行の場合、地域共通クーポンは付かず、旅行代金の割引(旅行代金総額の35%)が対象。
※GoToトラベル事業の概要 国土交通省 観光庁 より引用
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page01_000637.html
2.会社の出張などビジネスで宿泊等をする 場合も給付の対象
旅行代金の充当、地域共通クーポン、いずれも会社の出張などビジネスで宿泊等をする 場合も給付の対象となります。
例えば、会社の出張でGoToトラベル対象の旅行商品22,000円(税込)を購入する場合、出張者は現金等で14,300円を旅行業者に支払い、残額7,700円はGoToトラベル事務局が旅行業者に支払うことになります。
この場合、会社が出張旅費等で計上する課税仕入れ金額は税込22,000円となります。
充当された金額7,700円の会社の経理処理としては、国からの補助金となりますので、不課税取引となる雑収入などで計上することとなります。
旅行代金の補助を受けたとしても、旅行業者が販売する旅行商品の対価の額は変わらず、当初の旅行代金全額を費用として認識し、消費税の課税対象にもなるということとなります。
3.従業員が出張で利用したGoToトラベルによる宿泊費の取扱い
例えば、1泊2日の出張で旅行代金が22,000円(税込)の場合、7,700円が旅行代金の割引となり、3,300円が地域共通クーポンとして配布された場合です。
従業員が立替え、後日会社が精算するとします。
《出張旅費精算時仕訳》
旅費交通費 20,000円 / 現 金 14,300円
仮払消費税 2,000円 / 雑収入 7,700円(消費税対象外)
会社が支払う旅行代金は一人当たり14,300円になりますが実際には上記のように仕訳をする必要があります。
4.地域共通クーポン(地域共通券)利用時の取扱い
10月からは地域共通クーポン(地域共通券)の配布も始まりました。
旅行先での商品や飲食等の支払いに充てられるというものです。
地域共通クーポンは,旅行者が地域共通クーポンの取扱店舗に支払う商品代金等の一部を国が負担するものです。この場合の消費税の課税関係について、旅行代金の充当と同様に、販売商品の対価の額は変わらず、その販売商品の対価の全額が消費税の課税対象になることとなります。
また、従業員個人が地域共通券を受け取る場合には、従業員の一時所得になると考えられます。(年間50万円までなら控除枠がありますので考慮する必要はありません。)
会社としては会計処理をする必要はないものの、出張に行った従業員と行かない従業員の不公平が生じるため、就業規則等で取扱いを決めておくのも良いかもしれません。
会社での取扱いが決まっていれば、会計・税務処理もスムーズです。
例えば、取引先への手土産購入に使ってもらうという場合には次のように処理します。
《出張旅費精算時仕訳》
例えば、3,300円が地域共通クーポンとして配布された場合
■従業員が地域共通クーポンを使い切らなかった場合
接待交際費 2,000円 / 雑収入 2,160円(消費税対象外)
仮払消費税 160円
■従業員が地域共通クーポンを使い切り差額を立替えた場合
接待交際費 5,000円 / 雑収入 3,300円(消費税対象外)
仮払消費税 400円 / 現金 2,100円
地域共通クーポンは値引きではなく、給付を受ける形になるため、消費税は不課税取引となる雑収入などで計上することとなります。
地域共通クーポンの範囲内で物品購入に充ててもらい、現金精算は発生しないようにしておけば経理の必要はなさそうと思われがちですが、消費税を考慮すると上記のような仕訳が必要となるでしょう。
5.まとめ
出張の多い会社ではこの経理方法によって消費税の負担が大きく違ってくる事となりますので注意が必要です。
状況に合わせて適切な会計処理を行いましょう。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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