1. 区分経理が困難な場合は特例計算もあり
【売上区分】軽減税率8%の売上と10%売上の取引を区分することが困難です。 何かよい方法はないでしょうか。 |
このようなご質問をお受けすることがあります。課税売上げを税率ごとに区分することが困難な事業者は、経過措置として、次に掲げる方法により売上税額を計算する特例が認められているのはご存知でしょうか。
■特例①「小売等軽減仕入割合」の特例
課税仕入れを税率ごとに管理できる卸売業又は小売業を営む事業者は、当該事業に係る課税売上げに、「小売等軽減仕入割合」を乗じて、軽減対象資産に係る課税売上げを算出し、売上税額を計算することができます。
小売等軽減仕入割合とは、当該事業に係る課税仕入れ に占める 軽減税率対象品目の売上げにのみ要する課税仕入れの割合を言います。
■特例②「課税売上割合」の特例
課税売上げに、通常の連続する10営業日の課税売上げに占める同期間の軽減税率対象品目の課税売上げの割合(軽減売上割合)を乗じて、軽減対象資産に係る課税売上げを算出し、売上税額を計算することができます。
ここでいう、通常の連続する10営業日とは、当該特例の適用を受けようとする期間内の通常の事業を行う連続する10営業日であれば、いつかは問いません。
■特例③上記①・②の割合の計算が困難な場合
上記①・②の割合の計算が困難な中小事業者であって、主として軽減税率対象品目の譲渡等を行う事業者は、これらの割合を50/100とすることができます。
これらの経過措置を適用できる期間は、平成31年10月1日から令和5年9月30日までの期間となっていますので注意が必要です。
2.期限迫る!簡易課税制度の届出の特例は令和2年9月30日まで
【仕入区分】軽減税率8%の仕入と10%仕入の取引を区分することが困難です。 何かよい方法はないでしょうか。 |
次は仕入区分の特例をご紹介します。
■特例①「小売等軽減売上割合」の特例
課税売上を税率ごとに管理できる卸売業又は小売業を行う中小事業者は、当該事業に係る課税仕入れに、当該事業に係る課税売上に占める軽減税率対象品目の課税売上げの割合(小売等軽減売上割合)を乗じて、軽減対象資産に係る課税仕入れを算出し、仕入税額を計算することができます。
経過措置の適用期間は、平成31年10月1日から令和2年9月30日の属する課税期間の末日までの期間(簡易課税制度の適用を受けない期間に限ります。)となります。
■特例②「簡易課税制度の届出」の特例
消費税簡易課税制度選択届出書を提出した課税期間から簡易課税制度を適用することができる特例が設けられています。
経過措置の適用期間は、平成31年10月1日から令和2年9月30日までの日の属する課税期間であり期限が迫っていますので、検討されている方はお早めにご対応ください。ただし、簡易課税制度の届出の特例を選択した場合は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ簡易課税制度の適用をやめることはできませんので検討が必要です。。
3.簡易課税制度を適用している場合の特例計算はどうなる
【簡易課税】簡易課税を適用しています。その場合に適用できる売上税額の計算の特例を教えてください。 |
簡易課税制度を適用する場合に適用できる売上税額の計算の特例は、「軽減売上割合」を用いて軽減対象資産の課税売上げを計算する「軽減売上割合の特例」となります。
なお、「軽減売上割合」の計算が困難な中小事業者(主として軽減税率対象品目の譲渡等を行う中小事業者に限ります。)は課税売上(税込み)の50/100を軽減対象資産の課税売上げ(税込み)とすることができます。
4.まとめ
以上、消費税の特例計算について簡単に記載させていただきました。
経過措置を適用するか否かの判断で税額が大きく異なるケースや、各種届出の提出期限にも注意が必要です。
弊事務所では、経営環境厳しい昨今、お客様に寄り添うことを使命とし、記帳指導はもちろんのこと、資金繰りサポート、改善計画支援などの業務も行っております。お困り事がありましたらお気軽にお問合せいただければと思います。
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