不動産の共有持分を「贈与」した場合と「持分を放棄」した場合の違いについて

親から不動産を相続した場合など、不動産を共有持分にしていることはないでしょうか。

不動産の共有持分を解消するために、不動産を「贈与」あるいは「持分を放棄」の方法について質問を受けることがあります。「贈与」をした場合と「持分を放棄」した場合の課税関係を整理したいと思います。

贈与をした場合

共有者が自分の共有持分を他の共有者に贈与した場合、受贈者に贈与税が課税されます 。

持分を放棄した場合

共有者がその共有持分を放棄した場合、民法上、その持分は他の共有者に帰属することになりますが、これは単独行為なので贈与には該当しません。しかし、相続税法上においては、贈与とみなされて、他の共有者に贈与税が課税されます。

「贈与」の場合も「持分の放棄」の場合も、ここまでは課税関係に違いはありません。しかし、「贈与」あるいは「持分の放棄」により、不動産を得た人が、その不動産を売却する場合には、課税関係に違いが生じます。不動産を売却した人は、譲渡所得税が課されることになりますが、その不動産が「贈与」により取得したのか、「持分の放棄」により取得したのかによって、大きく課税関係が異なります。

譲渡所得税は、「売却収入」-「取得費」=「譲渡所得」に対して課税されます。譲渡所得税を計算する際、この「取得費」の取り扱いが「贈与」の場合と「持分放棄」の場合とで異なることになります。

取得費の取り扱いついては、以下の通りです。

【贈与により不動産を取得した場合の取得費】

受贈者は、贈与物件に係る贈与者の取得日・取得費を引き継ぐことになります。

【持分の放棄により不動産を取得した場合の取得費】

贈与課税時は、概算取得費(売却金額の5%等)が取得費となります。

したがって、

  1. 共有持分を贈与の場合には、贈与税で時価課税され、その贈与物件を売却する時に再び時価課税されます。そのため、引き継ぐ取得費を超える部分は二重課税されることなります。
  2. 共有持分の放棄の場合には、取得費の引き継ぎがないので、当局側の課税の実務では、贈与課税時の時価を取得費とすることから、二重課税はありません。