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新天皇と税金-職業がゆえの一考察 ~週刊ひかり vol.7

2019.05.13 経営

 去る5月1日に「剣璽等承継の儀」「即位後朝見の儀」が行われ、新天皇が即位されました。また、来る10月22日には新天皇が国内外にその即位を宣明する「即位礼正殿の儀」が行われる予定です。「…の儀」と聞くと何やら堅苦しいですが、私たちの身近な結婚式にたとえると、5月1日が挙式で10月22日が披露宴といったところでしょうか。ちなみに、この両日は国民の休日とされています。
 さて、皇室の慶賀に国民の耳目が集まる中、税理士・会計士として気になるのは、やはり「税」のことです。前出の「剣璽等承継の儀」では、いわゆる三種の神器の承継が行われたわけですが、通常、親の財産を子供に引き継ぐ場合、中身が何であれ経済的価値があれば贈与税もしくは相続税の課税対象になります。したがって、この三種の神器についても例外ではないはずです。でも、「三種の神器に課税される」なんて聞いたら、世間の人はビックリしますよね。
 実は、相続税法には「相続税の非課税財産」という規定があって、そこには「皇室経済法第7条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物」が例示されています。具体的には三種の神器のことを指していますから、この規定から相続税が課税されないことは明らかです。しかし、「贈与税の非課税財産」には同様の規定がないのです。つまり、法律は今回のような生前譲位を想定していませんから、贈与税のことまで考えていなかった。そこで、「こりゃ、えらいこっちゃ」ということで、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」という新たな法律を作り、「…皇位の継承があった場合において皇室経済法第七条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さない」と明記したのです。これで、三種の神器には贈与税も課税されないことになりました。
 もっとも、三種の神器に課税されたとしても、その経済的価値を測定することは難しいですね。三種の神器のうち宝剣は安徳天皇と共に壇ノ浦に沈んだと日本史の授業で習いましたから、現在あるものはレプリカなのでしょうか。レプリカなら経済的価値はないでしょうから、そもそも課税されるはずはないし…、などと新天皇即位を税金の面から考えている税理士・会計士でした(^_^)
 

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