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語源を知っていますか-西洋思想の理解と聖書~週刊ひかり vol.21

2019.08.26 経営

 税の語源については、拙著「新・くらしの税金百科」の中でも説明しているとおり、ノ木偏が農作物を示し、旁の兌が交換の意味であることから、農作物を社会費用の負担分として交換に供する、つまり国家等に納めることを表しています
 一方、英語のtaxについても、「tangible」つまり「触る・評価する」に由来します。身近な例でいうと、私たちが利用するタクシーにも通じるところがあって、タクシーは「taximeter cab」の略ですが、その意味は「(金銭)評価に対応する分だけの距離を走るクルマ」のことです。したがって、taxも「評価(収入)に対応する負担」というわけです。
 ところで、納税申告書のことを英語では「tax return」といいます。なぜ「tax report」や「tax declaration」とは言わないのでしょうか。これには聖書の存在が大きく影響していると言われています。みなさんは、「マルコによる福音書」の12章14節以下に次のような記述があることをご存じでしょうか。
-彼らはイエスに言った、「先生、カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか」。するとイエスは言われた、「なぜわたしを試そうとするのか。デナリを持ってきて見せなさい」。 彼らはそれを持ってきた。そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。彼らは「カイザルのです」と答えた。するとイエスは言われた、「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。彼らはイエスに驚嘆した-
 この「返しなさい」が returnだというわけです。 時の支配者に納税することは体制を容認することになる一方、納税を拒めば体制に背くものと見なされる。あたかも踏絵のような意地の悪い質問に見事な答えが用意されたわけですが、これが「tax return」の由来という説が有力です。キリスト教文化に馴染みが薄い私たちですが、西洋思想の一端を理解する上で聖書に関して少し知っておくことも大事かなと思わせるエピソードの一つです。

 

 

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