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猫も杓子もホテル-賢者は歴史に学ぶ、はず…~週刊ひかり vol.12

2019.06.17 経営

 猫も杓子も、という言葉があります。広辞苑によると「誰も、彼も」「どいつも、こいつも」ですが、京都市内に雨後の筍のように次々とオープンするホテルは文字通り「猫も杓子も」状態です。弊社京都事務所の近隣もホテルの建築と開業が相次いでいて、京都商工会議所が移転した跡地でも大規模ホテルの建設が始まろうとしています。
 先日、そのホテルの建設に関する近隣住民向け説明会があったので、ちょっと顔を出してきましたが、高級ホテルかと思いきや、車寄せなし、駐車場なし、宴会場なし、レストランは簡易なものが一つだけという250室の宿泊特化型ホテルとのことでガッカリです。近所に少しグレードの高いホテルができれば、お客さんを食事にお誘いするのに好都合かと期待していましたが、あっさりと裏切られました(笑)
 ところで、この猫も杓子もホテルの状態は誰の目から見ても異常で、その光景に強い違和感を覚えるのですが、事態を冷静に分析しているシンクタンクからも懸念の声が上がっています。ニッセイ基礎研究所の報告によると、訪日外国人の増加によって東京や大阪のホテル需要は堅調に推移する中、供給される客室数とほぼバランスする見込みであるのに対して、京都では2020年までに約3千室の客室が新たに必要とされるものの、既にこの規模を大幅に上回るホテルの建設が予定されており、供給過剰に陥る可能性が極めて高いとのことです。
 今から遡ること約30年前、通貨の過剰供給がもたらしたバブル経済が崩壊し、不動産価格や株価が暴落して金融機関の破綻が相次ぐなど、大きな禍根を遺したことは記憶に新しいところです。そうした歴史に学ぶことなく、京都で進行するホテルバブル。立地条件やアクセス面で優位性を持つ物件はともかく、路地裏にまで進出したホテルの寿命は長くはないでしょう。ホテルバブルがはじけて臍を噛むことになる人たちに「愚者は経験を語り、賢者は歴史に学ぶ」とのメッセージを伝えることが、心ある税理士・会計士の良心ではないかと思っています。
 

 

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