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自社株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について

2017.10.26 相続

円滑な事業承継のための自社株式に係る納税猶予とは

中小企業の自社株式の相続・贈与が行われた場合、相続税・贈与税といった税負担が重く、事業承継する際に、大きなハードルなることがあります。

そこで、スムーズな事業承継を支援するために、自社株式の相続税や贈与税について税制面から、納税を猶予する制度が設けられています。

以下、自社株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について説明させていただきます。

◆相続税の納税猶予とは

現経営者の相続または遺贈により、その親族である後継者が取得した自社株式の80%部分の相続税が納税猶予されます。

◆贈与税の納税猶予とは

現経営者からの贈与により、その親族である後継者が取得した自社株式に対応する贈与税が納税猶予されます。

※1親族とは、①6親等の血族(甥、姪当)②配偶者、③3親等以内の姻族(娘婿等)
※2納税猶予の対象となる自社株式は、後継者が相続、贈与前からすでに保有していた分も含めて、発行済議決権株式総数の3分の2までの部分。

納税猶予を受けるための要件

◆申告期限までの要件

◇会社の主な要件
  1. 中小企業者であること
  2. 上場会社、風俗営業会社でないこと
  3. 従業員が1人以上であること
  4. 資産管理会社に該当しないこと など
◇現経営者の要件
  1. 会社の代表者であったこと(贈与時までに会社の役員を退任すること)
  2. 相続開始直前において、現経営者と現経営者の親族などとでそう議決件数の過半数を保有し、かつこれらの者の中で筆頭株主であったこと。 など
◇後継者の要件
  1. 現経営者の親族であること
  2. 相続開始の直前において役員であり、相続開始から5ヶ月後に代表者であること
  3. 贈与税の納税猶予の場合、贈与日に20歳以上。贈与直前3年以上役員であったこと
  4. 相続開始時において、後継者と後継者の親族などとでそう議決件数の過半数を保有し、かつこれらの者の中で筆頭株主であったこと。 など
◇担保提供

納税猶予される税額及び利子税の額に見合う担保を税務署へ提出すること

◆納税猶予期間中の要件

納税猶予を受け続けるためには下記の要件を満たすことが必要です。満たせなかった場合には、納税猶予額の全額あるいは一部の納付が必要となります。

「申告期限後5年間」と「申告期限から5年を経過後」の2つの期間で要件が異なってきます。

<主な要件> <満たせなかった場合>
後継者が会社の代表者であること 全額納付
雇用の8割以上を維持していること
後継者が筆頭株主であること
上場会社、風俗営業会社に該当しないこと
猶予対象株式を継続保有していること
資産管理会社に該当しないこと
~5年経過後~
猶予対象株式を継続保有していること 譲渡した株式の割合分だけ納付
資産管理会社に該当しないこと 全額納付

 

納税猶予されていた税額の全部又は一部と利子税は、上記納付する場合となった日から2 ヶ月を経過する日(納税猶予期限)までに納付する必要があります。

なお、利子税の額は、相続税・贈与税の申告期限の翌日から納税猶予期限までの日数に応じた額となります(年利2.1% の単利計算)。

納税猶予を受けるための手続きとは

◆贈与税の納税猶予についての手続

  • 経済産業局へ贈与の翌年の1月15日までに確認書を添付して申請。
  • 審査後、認定書が交付
  • 税務署へ認定申請書の写しとともに、贈与税の申告書等を提出。
  • 納税猶予税額及び利子額の額に見合う担保を提供。
  • 申告期限後5年間は経済産業局へ「年次報告書」を提出
  • 税務署には「継続届出書」を提出
  • その後は3年に1回税務署へ「継続届出書」を提出

◆相続税の納税猶予についての手続き

  • 経済産業局へ相続開始後8ヶ月以内に確認書を添付して申請。
  • 審査後、認定書が交付
  • 税務署へ認定申請書の写しとともに、相続税の申告書等を提出。
  • 納税猶予税額及び利子額の額に見合う担保を提供。

以下贈与税の納税猶予と同様・・・

  • 申告期限後5年間は経済産業局へ「年次報告書」を提出
  • 税務署には「継続届出書」を提出
  • その後は3年に1回税務署へ「継続届出書」を提出

平成29年度の税制改正点について

平成29年度の改正では、猶予期間中の雇用8割の計算する場合に、1人未満の端数があるときは、切り上げ→切り捨てとした数となり、雇用維持の要件が緩和されています。

まとめ

相続税の納税猶予制度を利用することで、円滑な事業承継が可能で有り、また相続税の納税資金対策の側面からも有効な制度です。

しかし、贈与税の納税猶予制度を利用する際には、自社株式の価格は毎年変動することから、将来価格が下落する場合もあるため、この制度を利用したために余分な相続税の負担が生じる可能性もありますのでご注意ください。

この制度を利用する際は、専門家に相談し慎重に検討したほうが良いでしょう。

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